英文契約 ”shall”使いすぎ問題(1)

英文契約のチェック業務を始めたばかりの頃は、なんでもかんでもshallを使って表現しようとしがちです。かくいう私もそうでした。

でも、

shall は、「~しなければならない。」という義務を

shall notは「~してはならない。」という禁止を意味しており

義務又は禁止を表現する時以外は、shallは用いるべきではありません。

日本語の契約書でも英語の契約書でも同じですが、契約書では、一つの表現に複数の意味を持たせることは避けるべきです。

また、同じ意味表すために複数の表現を用いることも避けるべきです。

意味と表現の組み合わせは、一貫していなければならないのです。

だから、shallは義務、shall not は禁止を表現したいときだけ用いましょう。

しかしながら、世の中に出回っている英文契約を見ると、不必要にshallが多用された契約書を見かけることがよくあります。

たとえば、一回限りのスポットの売買契約において、

「A社はB社から本製品を購入する」と言いたい場合、

Company A shall purchase the Products from Company B.

と書きたくなるかもしれませんが、これは間違いです。

契約書に署名した時点で、A社とB社との間の売買契約は成立しているので、A社が購入義務を負っているわけではありません。

契約書に署名した時点でA社はすでに購入しているのです。

ですので、この場合、

Company A hereby purchases the Products from Company B.と現在形を用いて表現すべきです。

もちろん、A社は製品の代金を支払う義務を負っており、B社は製品を引き渡す義務を負っていますので、これらの義務を表す場合には、shall pay やshall deliver などshallを使って表現します。

同じように特許権のライセンス契約では”Company A hereby grants Company B a license to use~” と表現します。shall grant とは言いません。こちらの方が意識されている方は多いかと思います。

shallを不必要に使っている例は、ほかにも色々ありますが、それはまた、別の機会に書きたいと思います。

では、では、お疲れ様でした。

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