英文契約 “pro rata”の使い方

役務提供契約において、契約を途中で終了させるときには、すでに受け取った報酬の一部を業務進捗の程度に応じて返還しないといけない場合があります。

逆に、まだ、報酬を受け取っていない場合、業務進捗の程度に応じて、報酬を請求しなければならない場合もあります。

英文契約において、このような場合の清算方法を定めるためには、どのような表現を使えばよいでしょうか。

たとえば、私がお客様から係争処理の依頼を受けるときに、使っている委任契約書の雛形には、以下のような条件が定められています。

第〇条 中途解約の場合の弁護士報酬の処理

本契約が解除または継続不能により中途で終了したときは、受任弁護士の処理の程度に応じて清算を行うこととし、処理の程度についての依頼者及び受任弁護士の協議結果にもとづき、弁護士報酬の全部もしくは一部の返還または支払を行うものとする。

業務の進捗の程度に応じて、受け取りすぎている報酬があれば返還しますし、逆に、まだ受け取っていない場合には、お支払いいただくことになります。

なお、業務の進捗の程度について、弁護士は、「すでに8割の仕事は終わっている」と主張し、一方、お客様は、「いやいや、まだ5割しか終わっていないよ」とおっしゃる場合もあるでしょうから、双方で協議することとしています。

この「受任弁護士の処理の程度に応じて清算を行う」という部分をどのように英訳するかがポイントになるのですが、私の場合、お客様が外国人の場合には、以下のような参考訳を付けています。

If this Agreement is terminated or become unable to continue before completion of the Services, Client shall pay or Attorney shall refund all or part of the Service Fee on a pro rata basis according to the Service performed or not performed by Attorney after mutual consultation about the extent of performed Services.

このように「○○の割合に応じて」と言いたいときに、便利な表現がon a pro rata basisという表現です。

pro rataという表現は、役務提供契約だけでなく、売買契約、賃貸借契約、開発契約、株式譲渡契約など、「割合に応じて」と言いたいときには、よく使われる表現ですので使いこなせるようになっておくとよいでしょう。

次回は、これの応用で賃料などを日割清算する場合の表現について書きたいと思います。

ではでは、お疲れ様でした!

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